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どこかの大学職員のブログ

課程認定申請の工程管理:ガントチャートの活用

 

はじめに―課程認定申請の業務特性―

15年ほど前、大学が課程認定申請を忘れたため、新入生が1年間教員免許の取得に必要な単位を修得できなくなったという事件が起こりました[1]。法人化に伴う手続きだったという特殊事情はあるものの、前車の轍を踏まないよう反面教師としなければならない事例です。「申請を忘れる」ことは極めて稀な事例ですが、「申請が間に合いそうになくヒヤヒヤする」経験をした職員は多いのではないでしょうか。

課程認定申請は認可申請業務で、大学の申請が行政機関で審査され、適当とされれば許可(認定)され、教職課程を開設することができます。申請から許可(認定)までのスケジュールはあらかじめ各大学に公表されており、最短でも1年、最長で1年6ヶ月を要します。大学の業務としては「長期戦」の部類に入るのではないかと思います。「長期戦」で勝つ(=無事に認定を得る)ためには、計画を立てその進捗を管理することが肝心です。そのためのツールとして、ガントチャートが有効です。ガントチャートを活用することで、「間に合わない!どうしよう!」というヒヤヒヤを多少なりとも軽減できるのではないかと思います。

 

ガントチャート作成例

下記のファイルは2024年4月の教職課程開設を想定し、それまでに検討すべき事項を左に書き出したものです。責任担当を明確にし、他者が見ても進捗が分かるようにそのための欄も設けています。複数部署が申請業務にかかわることを想定し「担当部署」欄を設けましたが、単一部署で業務が完結する場合には「担当者」等としてもいいかもしれません。また、新任者が申請業務にかかわる場合には、その育成も視野に「根拠基準」欄などを設けて、各種検討や様式作成に際し目を通すべき法令・基準等を明記してあげてもいいと思います。

なお、下記ファイルは誰でも馴染みのあるexcelで作成しましたが、一緒に業務にあたるメンバーが使いこなせるようであれば、無料のガントチャート作成ツールを使うと、よりヴィジュアライズされたものが作成できると思います。

docs.google.com

 

おわりに

課程認定と相補的な関係にある設置認可申請においても、工程表を組むことの重要性とそのポイントが識者によって指摘されています[2]。こちらでも参考になるガントチャート例が示されていますのでご参照ください。

 

本記事では、課程認定申請が許認可申請業務であることを踏まえ、計画して進捗を管理するのに役立つツールを紹介しました。課程認定の業務特性を踏まえれば、ほかにも「責任部署(者)を明確にする」「教員養成の理念を共有する」「教員個々の興味関心と学習内容を調整する」「教職員間で協働する」ことが業務を進める上で重要になりますが、この点はまた別の機会に書きたいと思います。

 

 

 

[1] 『大学の教員免許業務Q&A』(玉川大学出版部)のp.178に業務ミス事例5として記載されているもの。

[2] SPODフォーラム2021研修テキスト「大学設置認可申請入門」https://www.spod.ehime-u.ac.jp/spod-forum1/2021-2702d/