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どこかの大学職員のブログ

コロナ禍における教職課程運営―教員採用選考 編―

 

 

はじめに

 前回、前々回と「教育実習」「介護等体験」を取り上げましたが、今回は「教員採用選考 編」としてコロナ禍における面接指導や実技指導といった教員就職支援と教員採用選考の実施状況について記事にしたいと思います。

 

面接指導

 本学では、5月上旬のオンライン授業の開始に先立って、4月下旬からオンラインによる面接指導を開始しました。ツールはGoogle meetを用いることにしましたが、オンライン授業がまだ始まっていないこともあり、教職員も学生もビデオ会議ツールの使用には不慣れでした。そこで、独自に教員就職支援用のビデオ会議ツールマニュアルを作成しました。

 また、Google スプレッドシートに就職支援担当教員の対応可能な日程を記載して公開し、学生からはメールで予約を受け付けることとしました。予想以上に申し込みが多く、日程調整の結果を即時にスプレッドシートに反映する作業に苦労しました。

 5月中旬からは集団討論の指導も始めました。学生には各自名札を準備させ、画面上に提示することで、議論しやすい環境を設定する工夫も行いました。

 6月下旬に対面授業が一部解禁されて以降は、面接指導も対面形式での実施を開始し、学生の希望に応じオンラインと対面を使い分けることにしました。実家に帰省中の学生も多かったため、オンラインの選択肢も残しておきました。

 

実技指導

 文部科学省が毎年実施している調査によれば、昨年度(令和元)に選考を実施した68県市のうち、小学校では35県市(約51%)が音楽の実技を、45県市(約66%)が体育の実技を実施していることが分かります。

www.mext.go.jp

 本学では就職支援担当教員や当該教科を専攻する学生の力も借りて、ピアノやデッサン、マット運動、水泳等の対策指導を行っています。

 まずピアノ指導については、対面授業が開始された6月下旬以降、感染対策に十分配慮した上で、対面で実施しました。自宅にキーボード等がある学生については、ビデオ会議ツールをONにしたまま自宅で演奏してもらい、リアルタイムに指導を行う「オンラインピアノ指導」も実施しました。マット運動も対面での指導を行いましたが、本学学生が受験する多くの自治体がマット運動の試験を中止したため、受講者はそれほど多くはありませんでした。

 なお、水泳については本学学生が受験するすべての自治体で中止となったことから、今年度の指導は行いませんでした。

 

その他の教員就職支援

論文指導

 作文・小論文試験を実施する自治体を受験する学生のため、論文指導も実施しています。論文指導においては、その論述内容のみならず、書字指導も重要な指導内容であるため、あえて紙に手書きで記入したものを郵送させ、朱書きして返送するという指導方法を採りました。きれいで読みやすく、児童生徒の手本となる板書ができる教員を育てたいという思いが込められています。

過去問の貸し出し

 例年であれば、教職センターに来所した学生が図書館での借用と同じようにカウンターで手続きを行うことで過去問を貸し出していましたが、大学内への入構を禁止していた期間があったこと、実家等へ帰省中の学生も多くいたことから、郵送での貸し出しを行いました。まず、保管している過去問や書籍をリストアップし、学生に公開しました。こちらもメールで学生から借用申込みを受け付け、学生への発送は大学負担、学生からの返送は学生負担で貸し出しを行いました。

各種証明書

 教員採用選考に必要な各種証明書の申込みは従来は紙媒体の「証明書発行願」を提出させることとしていました。また、郵送での受取りを希望する学生には、切手を貼った返信用封筒を準備してもらっていました。

 しかしながら、今年度は紙媒体の提出を不要とし、メール本文への必要事項の記入による申請も可とし、発行は急ぎの場合を除き学生の居所に大学負担で郵送することとしました。

激励メッセージ動画の配信

 例年であれば、空きコマなどに学生会館や図書館で教員採用試験対策に励む学生の姿が見られますが、対策講座の中止や入構禁止措置により、学生同士の学び合いや情報交換の場が失われてしまいました。

 そこで、自宅等で一人で対策に励む学生に向け、採用選考試験受験にあたっての心構えや就職支援担当教員による応援メッセージを何度かに分けて大学公式YouTubeから配信しました。ある時は教員らが応援団に扮し、「フレー!フレー!」とエールを切る動画を配信したりもしました。

 

教員採用選考

 令和2年度に実施された教員採用選考の実施方法については、文科省による調査結果がまだ公表されていませんが、本学学生が最も多く受験する自治体では小学校の実技試験が中止となりました。その他、近隣県の実施状況は次のとおりです。

  • A県 集団討論及び小学校実技試験の中止。
  • B県 音楽実技、理科実技、体育実技試験の中止。小論文、日常英会話試験の中止。
  • C県 小学校実技試験の中止。集団面接及び中高保健体育の水泳及び武道の中止。
  • D県 集団討議及び中高保健体育の水泳の中止。模擬授業の中止。

これら内容の変更に加え、試験会場の変更や合格者発表日の変更など、とにかく自治体の最新の情報をチェックし変更内容を確認、学生に周知することが大変でした。

 志願者数や倍率については、当然ながら各自治体で増減はありますが、第二次ベビーブームへの対応で大量採用された世代が定年退職を迎えること、特別支援教育の充実による加配、教職の魅力低下、少子化の影響…等々の複数の要因が複雑に絡み合っている結果ですので、コロナの影響のみを見ることは難しいように思います。

 

おわりに

 コロナの終息の見通しが立たない中で、令和4年度(令和3年実施)採用試験の選考内容がどうなるのか…。すでに変更内容を公表している自治体もあり、引き続き動向を把握する必要がありそうです。