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どこかの大学職員のブログ

これだけ読めばOK!中教審「『令和の日本型学校教育』を担う教師の養成・採用・研修の在り方について(中間まとめ)」―「第Ⅱ部 各論」編―

 

「第Ⅰ部 総論」編

「第Ⅰ部 総論」部は別記事にまとめています。

 

startingover-kyousyoku.hatenablog.com

 

本記事では、これに続く各論部をまとめます。以下はすべて引用であり、下線による強調は筆者によるものです。

 

第Ⅱ部 各論

1. 「令和の日本型学校教育」を担う教師に求められる資質能力

(2) 指針の改正及び教員育成指標の見直し、「教師に共通的に求められる資質能力」を踏まえた教職課程の在り方

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 教師に共通的に求められる資質能力を再整理したことを踏まえ、教職課程の在り方についても検討する必要があるが、ここで示された資質能力の多くは、既に現行の教職課程におけるコアカリキュラムの内容とで充分カバーされている。また、「④特別な配慮や支援を必要とする子供への対応」については令和元年度、「⑤ICT や情報・教育データの利活用」については令和4年度から、教職課程の中で対応する科目がそれぞれ必修化されたところである。

 こうした状況を踏まえると、現時点で、教育職員免許法施行規則において定められる普通免許状の授与に必要な「教科及び教職に関する科目」を改正し、各大学に再課程認定の手続きを求めるまでは要しない

 一方、教職課程を設置する各大学においては、自己点検評価の中で、こうした資質能力を身に付けられるようなものになっているかを確認することが必要である。

 

(3) 理論と実践の往還を重視した教職課程への転換

①. 「教育実習」等の在り方の見直し

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 こうした状況を踏まえ、これまで、全ての学生が一律に、教職課程の終盤に教育実習を履修する形式を改め、それぞれの学生の状況に応じた柔軟な履修形式が認められるべきである。

 具体的には、短期集中型の従来の履修スタイルに加え、通年で決まった曜日などに実施する教育実習や、早い段階から学校体験活動を経験し、教育実習の一部と代替する方法なども想定される。また、異なる学年の学生が同時に参加する形を取ることにより、上級生がメンターとしての役割を担うようにする等の工夫を行うことも考えられる。いずれも、現行制度上で可能であり、各大学の創意工夫により、教職科目と学校現場の教育実践を相互に関連付けながら学びを深める取組を進めることが重要である。

 その際、事前・事後指導も含めたカリキュラム設計のみならず、学生自身が学校現場で経験する学びを自分なりに整理・判断できるようにするためのサポート体制等も含め、大学と学校現場が共通理解を基に緊密に連携・協働することが重要である。

 また、「教職実践演習」について、現在は、4年次(短期大学の場合には2年次)に実施することとされているところ、各大学の判断で、教師として必要な知識技能を修得したことを確認できる適切な時期に設定できるようにすべきである。

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 学校体験活動等の体験機会の充実や、教育実習等の実習時期・実施方法の見直しに当たっては、専門分野の学修や留学、ボランティア活動等、学生の多様な活動を両立できるよう留意することが必要であり、とりわけ、留学や海外の日本人学校での教育実習等の国際的な体験については、教師を志す学生に対して、積極的にその機会を提供していくことが重要である。

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②. 特別支援教育の充実に資する学校現場体験の充実及び「介護等の体験」の活用

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 具体的には、教職課程における教育実習・学校体験活動や「介護等の体験」において、特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室での活動機会を設け、教職科目の「特別の支援を必要とする児童等に対する理解」と関連付けながら学生の理解を深める等の取組・工夫を行うことが期待される。

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 「介護等の体験」に関して、必ず体験を行うようにすることが望ましい施設については、特別支援学校だけでなく、小中学校における特別支援学級等も選択できるようにすることを検討すべきである。

 

2. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成

(1) 教職課程における多様な専門性を有する教師の養成

①. 特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用・研修

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 大学生のうちに、「強みや専門性」を身に付けるため、教職課程に位置付けられた科目以外の科目の履修や、他の資格の取得、留学などを選択する者もいる一方、両立ができず、教職課程の履修を断念するおそれもある。

 こうした状況を踏まえ、四年制大学においても、専門分野の学びを深めたり、在学中に教師を志すようになった者が卒業までの間に教員免許状を取得したりすることにも柔軟に対応できるよう、最短、2年間で免許状取得に必要な基礎資格・単位を得られる二種免許状の取得を念頭に置いた教職課程の開設を特例的に認めるとともに、適切な履修モデルを設定すべきである。

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②. 専科指導優先実施教科に対応した小学校教員養成の促進

 令和4年度から小学校高学年における教科担任制が本格的に導入されたが、教科指導の専門性を有する教師による多様な教材を活用したより熟練した指導や、児童生徒の発達段階を理解した小学校から中学校への円滑な接続等の観点からは、小学校と中学校の両方の免許状を有する教師を増やしていくことが望ましい

 既に、学生が小学校と中学校の教員の免許状を同時に取得しやすい環境を整備するため、教職課程における義務教育特例を設けたところであるが、両方の免許状を取得可能な教職課程の数も増加させることが重要である。

 このため、学校規模や地理的条件等、各地域や学校の実情に応じ、義務教育9年間を見通した教科担任制の取組を推進するための特例的な措置として、まずは、専科指導の優先実施教科とされた外国語、理科、算数及び体育に相当する中学校教員養成課程を開設する学科等においては、教員養成を主たる目的とする学科等以外の学科等においても、小学校教員養成を行うことを可能とすべきである。

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 一方、例えば、中学校二種免許状を取得しようとする場合、教科によっては、「教科に関する専門的事項に関する科目」について、教育職員免許法施行規則で定める最低単位数を超える単位の取得を要するケースが生じている。このため、「教科に関する専門的事項に関する科目」について、専門的事項の数が多い教科を中心に、見直すべきである。

 

(2) 優れた人材を確保できるような教員採用等の在り方

①. 教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方

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 こうした状況も踏まえ、教員採用選考試験についても、その実施時期の早期化・複線化について検討する必要がある。

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3. 教員免許の在り方

(2) 義務教育9年間を見通した教員免許の在り方

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 このため、義務教育に関わる教師が、小学校教諭と中学校教諭の免許状の両方を保有することは大変意義がある。現行制度においても、大学で最初に取得した教員免許状を基礎として、勤務経験と講習の受講の組み合わせによって他の学校種の免許状を取得している者も一定程度いる。

 一方、教員養成段階においては、従来の制度の下では、2つの教職課程を同時に学生に求めることは学習範囲も広範にわたり、負担が大きい。

 こうした状況を踏まえ、義務教育全体の「義務教育免許」の創設など、免許区分の見直しが必要との指摘もある。

 しかし、制度改正を踏まえた各大学における現行の教職課程の見直し、再課程認定等に時間を要することを考えると、現行の教員免許区分を前提として、小学校教諭と中学校教諭の両方の免許状の取得の促進策を講じる方が、より即効性があり、柔軟な対応が可能と考えられる。

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4. 教員養成大学・学部、教職大学院の在り方

(1) 教員養成大学・学部、教職大学院の高度化・機能強化

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 各教員養成大学・学部、教職大学院においては、教員養成フラッグシップ大学における実践も参考に、自らの強みとして、学習科学等の実証的な学問成果に基づく省察的実践を通じて学び続ける教師の育成に今後一層力を入れて取り組んでいくことが重要である。

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 教員養成を行う一般大学・学部も含め、大学間で連携・協働し、教員養成・研修機能の高度化・強化を図っていくことが重要である。

 

(3) 教育委員会と大学との連携強化の促進

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 理論と実践を往還させた省察力による学びを実現し、学生の「授業観・学習観」の転換を図るため、養成段階においては、大学と教育委員会が連携・協働し、今日的な学校教育課題に対応した多様な現場体験・学習機会等の充実を図ることが重要である。

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 また、教員養成大学・学部、教職大学院と、教育委員会等との人事交流を積極的に推進することにより、教員養成大学・学部、教職大学院教育委員会等との連携の強化・実質化を図っていくことが重要である。

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(4) 教師養成に係る人材育成の好循環の実現

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 こうした観点から、学部段階においても、教職経験を有する大学教員(実務家教員)の登用を進めることが重要であり、これを担保するための制度的な枠組みとして、教員養成学部における実務家教員の配置に係る具体的な基準(例えば、必要な専任教員数のおおむね2割程度58以上)を設定することについて検討すべきである。

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