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どこかの大学職員のブログ

中高課程における「ただし書教員」の算入方法

 

幼小課程における算入方法のおさらい

前記事では、幼小課程における「ただし書教員」の算入方法について書きました。幼小課程では、規定に「合計の」とあることから、必要教職専任教員数の合計(総数)の4分の1の範囲内で算入することが可能です。

では、中学校・高等学校の課程ではどうでしょうか。どちらも考え方は同じですので、ここでは中学校課程の事例で考えていきたいと思います。

 

事例の概要

事例として使用する学科等の概要は次のとおりです。

  • 人文学部人文社会学
  • 入学定員150名
  • 認定を受けている(受けようとする)免許状:中学校教諭一種免許状(社会)
  • 「教育の基礎的理解に関する科目等」を共通開設する学科等の入学定員の合計1300名

 

本事例における必要教職専任教員数

中学校課程の必要教職専任教員数の規定は改正認定基準4-3(5)にあります。少し長いですが引用します。

4-3 中学校教諭の教職課程の場合

(5) 略

ⅰ)「教科に関する専門的事項」

   免許教科   必要教職専任教員数

    国語      3人以上

    社会      4人以上

    …

(※1)略

(※2)3(7)の規定にかかわらず、他学科等において開設する授業科目をあてる場合、当該他学科等の基幹教員を、認定を受けようとする学科等における当該科目を担当する教職専任教員とみなすことができる。

(※3)略

(※4)3(7)の規定にかかわらず、ただし書教員は、本表の必要教職専任教員数の4分の1の範囲内で当該学科等の必要教職専任教員数に算入することができる。

(※5)(※2)、(※3)又は(※4)による基幹教員を認定を受けようとする学科等における教職専任教員としてみなす場合は、本表に定める必要教職専任教員数の半数(うち1 人は教授)以上は、専ら認定を受けようとする学科等の教育研究に従事する者とすること。

 

ⅱ)「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」

中学校教諭の教職課程の「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」に配置する必要教職専任教員数は、大学におけるこれらの課程を置く学科等の入学定員の合計数に応じて、以下に定めるとおりとする。

 当該課程を置く学科等の入学定員の合計数  必要教職専任教員数

 800人 以下                2人以上

 801人 ~ 1,200人 以下        3人以上

 1,201人 ~               4人以上

(※1)教職専任教員の配置は、以下のとおりとする。

  • 教育の基礎的理解に関する科目(幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程及び特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解に係る部分を除く。)において1人
  • 「各教科の指導法」、教育の基礎的理解に関する科目(幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程及び特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解に係る部分に限る。)及び道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目(道徳の理論及び指導法、総合的な学習の時間の指導法、特別活動の指導法、教育の方法及び技術、情報通信技術を活用した教育の理論及び方法に係る部分に限る。)において1人

(※2)3(7)の規定にかかわらず、ただし書教員は、本表の必要教職専任教員数の4分の1の範囲内で当該学科等の必要教職専任教員数に算入することができる(ただし、(※1)のそれぞれ配置する1人については、専ら当該学科等の教育研究に従事する者とする)。

 

まず、必要教員数の総数を確認します。上記規定より、中学校課程における必要教員数は①「教科に関する専門的事項」と②「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」のそれぞれで算出する必要があることが分かります。つまり、これらの合計が当該教職課程に必要な教員の総数となります。

 

①については、ⅰ)に教科に応じて最低限必要な教員数が定められています。中学校社会の場合は「4人以上」必要です。(※1)~(※5)は後述するので一旦読み飛ばします。

②については、ⅱ)に当該教職課程を置く学科等の入学定員の合計数に応じて必要な教員数が定められています。一般に、学内に複数の中高の教職課程をもつ大学では、教職に関する科目をワンセット開講し、これを複数の学科に共通に開設していると思います。これらの共通に開設している学科の入学定員の合計数が必要教員数算出のベースになります。本事例では1300人としましたので、ⅱ)に照らして「4人以上」必要ということになります。

つまり、当該教職課程では、

  • 「教科に関する専門的事項」に4人以上
  • 「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」に4人以上

最低でも8人が必要だということになります。

 

本事例における「ただし書教員」の参入可能人数

ここからが「ただし書教員」の算入です。

「ただし書教員」の算入に関する規定はⅰ)(※4)ⅱ)(※2)のそれぞれにありますので、「ただし書教員」の算入も①「教科に関する専門的事項」と②「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」それぞれで算入します。この点が合計数に対し算入する幼小課程との相違点です。

算入できる範囲はいずれも4分の1ですので、本事例では

  • 「教科に関する専門的事項」:4×1/4=1人
  • 「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」:4×1/4=1人

の①、②でそれぞれ1人まで参入可能ということになります。

 

ⅰ)とⅱ)の表に定められるそれぞれの必要最低教員数の4分の1なので、分かりやすいですね。ただし、前記事で書いたように小数点以下は切り捨てと解釈されますので、①に関して、必要最低教員数が「2人以上」または「3人以上」と定められている国語、数学、音楽、美術…等々の教科については、「教科に関する専門的事項」で必要な教員数に「ただし書教員」を算入できないこととなります。同じく②に関しても、学科等の入学定員の合計数が1,200人以下の場合には「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」で必要な教員数に「ただし書教員」を算入できません。

 

注意事項

「教科に関する専門的事項」

ⅰ)(※2)に定められるとおり、他学科等で開設する科目を担当教員ごと借りてきて、当該教員を自学科等の教職専任教員とみなすことができます。従来「みなし専任教員」と呼ばれていたものです。「みなす」ため、認定基準3(7)に規定される教職専任教員の要件を満たす必要がないのは過去記事に書いたとおりです。

この「みなし教職専任教員」と「ただし書教員」を「教科に関する専門的事項」の必要教員数に算入するには、満たすべき要件があります。それがⅰ)(※5)に規定されています。「みなし教職専任教員」と「ただし書教員」を算入する場合であっても、ⅰ)の「表に定める必要教職専任教員数の半数(うち1 人は教授)以上は、専ら認定を受けようとする学科等の教育研究に従事する者」でなければなりません。

本事例の社会でいえば、最低教員数4人のうち2人までは「みなし教職専任教員」と「ただし書教員」でも構いませんが、残り2人は専ら当該学科等の教育研究に従事している必要があり、このうち1人は教授である必要があります。

 

「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」

当該区分においては、ⅱ)(※1)に定められるとおり、各1人ずつ配置しなければならない科目区分があります。従来、申請様式2号において着色して示されている区分であり、この規定は改正前と変わりません。

もう一点、ⅱ)(※2)に定められるとおり、一つ上の段落で確認した各1人ずつ配置しなければならない教員は、「ただし書教員」では不可で専ら当該学科等の教育研究に従事する者でなければなりません。

 

まとめ

以上を整理すると、中高課程における「ただし書教員」は、①「教科に関する専門的事項」と②「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」それぞれの必要教職専任教員数に対する4分の1の範囲内で算入することができます。合計数に対し算入する幼小課程とは考え方が異なります。