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どこかの大学職員のブログ

幼小課程における「ただし書教員」の算入方法

 

何に対する4分の1算入か?

前記事で定義を確認した「ただし書教員」は、一定の範囲内において必要教職専任教員数に算入することができます。「一定の範囲内」とは、4分の1の範囲内を指しますが、何に対する4分の1かは学校種によって考え方が異なります。

幼稚園課程と小学校課程は同じ考え方をしますので、以下では小学校課程の例を挙げ、ケーススタディとして教員数を算出してみたいと思います。

 

事例の概要

例として使用する学科等の概要は次のとおりです。

  • 教育学部教育学科
  • 入学定員70名
  • 認定を受けている(受けようとする)免許状:小学校教諭一種免許状

 

本事例における必要教職専任教員数

小学校課程の必要教職専任教員数の規定は改正認定基準4-2(4)にあります。読み飛ばしても差し支えない箇所には取り消し線をしています。

4-2 小学校教諭の教職課程の場合

(4)小学校教諭の教職課程に配置する必要教職専任教員数は、入学定員が50人までの場合、以下の①~④にそれぞれ1人とし、これを含め①~⑤で合計8人以上とする。ただし、短期大学の専攻科においては、①に1人、②~④のいずれかに1人とし、これを含め①~④で合計4人以上とする。また、入学定員が50人を超える場合は、50人を超えるごとに①~⑤及び教育実践に関する科目のいずれか又は合わせて2人増員しなければならない。

なお、3(7)の規定にかかわらず、ただし書教員は、必要教職専任教員数の合計の4分の1の範囲内で当該学科等の必要教職専任教員数に算入することができる(ただし、前段に定める①~④にそれぞれ配置する1人(短期大学の専攻科にあっては①の1人及び②~④の1人)については、専ら当該学科等の教育研究に従事する者とする)。

 ①「教科に関する専門的事項」

 ②教育の基礎的理解に関する科目

 ③道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目

 ④「各教科の指導法」

 ⑤「複合科目」

 

まず、必要教員数の総数を確認します。「入学定員が50人までの場合、…合計8人以上とする」とあり、さらに「入学定員が50人を超える場合は、50人を超えるごとに…2人増員しなければならない」とあります。当該学科等の入学定員は70名で50人を超えますので、基礎数の8人に増員分2人を足して、合計10人は最低限必要になります[1]

 

次に、この内訳を確認します。「入学定員が50人までの場合、以下の①~④にそれぞれ1人とし」、「入学定員が50人を超える場合は、50人を超えるごとに①~⑤及び教育実践に関する科目のいずれか又は合わせて2人増員しなければならない」とあります。つまり、上記①~④には最低1人ずつ4人を配置し、残り6人はいずれの区分に配置しても構わないことになります。

 

本事例における「ただし書教員」の算入可能人数

ここからが「ただし書教員」の算入です。

ここまでたくさんの教員数が出てきました。基礎数となる「8人」、この内訳で区分ごとに最低限配置しなければならない「4人」、入学定員に応じて算出した総数の「10人」。これらのどれに対する4分の1かは上で引用した改正認定基準4-2(4)に明記されています。「ただし書教員」に関する部分のみ再度引用します。

なお、3(7)の規定にかかわらず、ただし書教員は、必要教職専任教員数の合計の4分の1の範囲内で当該学科等の必要教職専任教員数に算入することができる…。

注目すべきは「合計の」という定めです。「必要教職専任教員数の合計の4分の1」なので、基礎数でもその内訳の必置数でもなく、合計(総数)の10人が「ただし書教員」算出のベースとなります。

 

この事例では、10×1/4=2.5、つまり2人まで「ただし書教員」を算入することができます。小数点以下の扱いに関する規定がありませんが、「…の範囲内で」という規定からこれは切り捨てであると解釈できます。

以上を整理すれば、本事例の学科等においては、合計10人必要でありそのうち2人まで「ただし書教員」を算入できることになります。

 

注意事項

少なくとも1人は教授

ただし、教員の配置に関してはほかにも満たすべき基準があるので注意が必要です。

1点目は、少なくとも1人は教授でなければならないという規定(改正認定基準3(9))です。

3 教育課程、教育研究実施組織(免許状の種類にかかわらず共通)

(9)以下に掲げる科目のそれぞれの教職専任教員において、少なくとも1人は教授でなければならない。

 ①領域及び保育内容の指導法に関する科目(領域に関する専門的事項に係る部分に限る。以下「領域に関する専門的事項」という。)

 ②教科及び教科の指導法に関する科目(教科に関する専門的事項に係る部分に限る。以下「教科に関する専門的事項」という。)

 ③「保育内容の指導法」又は「各教科の指導法」及び「教育の基礎的理解に関する科目等」

 ④特別支援教育に関する科目

 ⑤養護に関する科目

 

①~⑤の区分が示されていますが、改正認定基準4-2(4)①~⑤の区分とは、分け方が異なるので注意が必要です。

 

必置数の1人は専ら当該学科等の教育研究に従事する者

2点目は、「ただし書教員」を算入する場合、必置数の1人は専ら当該学科等の教育研究に従事する者でなければならないという規定(改正認定基準4-2(4))です。

なお、3(7)の規定にかかわらず、ただし書教員は、必要教職専任教員数の合計の4分の1の範囲内で当該学科等の必要教職専任教員数に算入することができる(ただし、前段に定める①~④にそれぞれ配置する1人(短期大学の専攻科にあっては①の1人及び②~④の1人)については、専ら当該学科等の教育研究に従事する者とする)。

ただし書き以降に定められています。「専ら当該学科等の教育研究に従事する者」なので、みなし教職専任教員もこの1人にあてることはできません。

 

まとめ

幼小課程における「ただし書教員」の算入は、規定中「合計の」とあることから、必要教職専任教員数の合計(総数)の4分の1の範囲内となることを書きました。

中高課程、特支課程はまた考え方が異なりますので、これはまた改めて書きます。

 

 

 

[1] 「50人を超えるごとに…2人増員しなければならない」ので、仮に本学科の入学定員が120名であれば4人増員、180名であれば6人増員が必要になります。