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どこかの大学職員のブログ

幼稚園の「保育内容の指導法」に小学校の「各教科の指導法」等の単位をあてる場合(免許法施行規則第2条第1項表備考第13号)の解釈

 

条文

条文は次のとおりです。読み飛ばしてもいい箇所は取り消し線をしています。

 

十三 保育内容の指導法に関する科目の単位のうち、半数までは、小学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教科及び教科の指導法に関する科目(各教科の指導法(情報通信技術の活用を含む。)に係る部分に限る。次条第一項、第四条第一項及び第五条第一項の表(表の部分に限る。)を除き、以下「各教科の指導法に関する科目」という。)又は道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目(特別活動の指導法に係る部分に限る。次条第一項、第四条第一項、第五条第一項の表(表の部分に限る。)を除き、以下「特別活動の指導法に関する科目」という。)の単位をもつてあてることができる。

 

「半数」とは何の半数か?

「半数までは…あてることができる」の「半数」とは何の半数でしょうか。「領域及び保育内容の指導法に関する科目」として大枠の最低修得単位数は定められていますが、その構成要素である「保育内容の指導法」に最低修得単位数は定められていません。

教職課程再課程認定等説明会質問回答集(平成30年1月9日版)のNo.614に回答があります。

 

 Q.改正施行規則第二条第1項表備考第十三号に基づき、領域及び保育内容の指導法の単位のうち、半数までは小学校教諭の課程の指定の科目の単位を持ってあてることができるとあるが、「半数」とは何の半数を指すのか?

 A.施行規則第二条第1項表の第二欄「領域及び保育内容の指導法に関する科目」の単位数から、「領域に関する専門的事項」について修得した単位数を差し引いた単位数の半数となる。

 

 

幼一種免の場合、「領域及び保育内容の指導法に関する科目」の最低修得単位数は16単位です。あてることができる「半数」とは、(16-領域に関する専門的事項)÷2と表すことができます。

 

「領域に関する専門的事項」の履修方法

では、「領域に関する専門的事項」の履修方法はどのように定められているでしょうか。第2条第1項表備考第1号に次のとおり規定されています。

 

一 領域及び保育内容の指導法に関する科目(領域に関する専門的事項に係る部分に限る。以下「領域に関する専門的事項に関する科目」という。)の単位の修得方法は、学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第三十八条に規定する幼稚園教育要領で定める健康、人間関係、環境、言葉及び表現の領域に関する専門的事項を含む科目のうち一以上の科目について修得するものとする。

 

「一以上の科目について修得」ですので、幼稚園教育要領に定める5領域のうち、一つでも履修し単位を修得すればよいということになります。例えば、「領域に関する専門的事項」において「健康」(2単位)のみ修得し、残りの14単位はすべて「保育内容の指導法」で修得しても法令上は問題ありません[1]。この場合、(16-2)÷2の7単位まで小学校の「各教科の指導法」をあてることが可能です。

ただし、実際に教員として勤務することを考えれば、5領域すべての単位を修得した方が望ましいので、そのように教職カリキュラムを編成している大学がほとんどだと思います。そのため、あてることができる「各教科の指導法」の単位数はもっと少ないものになるはずです。

 

あてることができる小学校の「各教科の指導法」の単位はどの教科でもよいのか

旧法では、次の解釈事例のように、教科が限定されていました(教員免許ハンドブック1 法令・解説編、p.566)。

 

 Q.社会、理科又は家庭の教科に係る小学校の各教科の指導法の単位を保育内容の指導法に関する科目の単位にあてることができるか。

 A.あてることはできない。

 

 

しかし、新法では、解釈が変更となり、法令上は教科は問わないとしています。「法令上は」という点に注意が必要であり、履修指導レベルでは従前の6教科の単位をあてることが望ましいという見解が示されています(経過措置等に係るQ&A集(平成31年2月5日)No.60)。

 

 Q.平成29年改正規則第2条第1項の表備考第13号については、現行の施行規則にも同様の規定があるが、ハンドブック(P.566)において、社会、理科、家庭の教科についての各教科の指導法の単位については流用できないとの記載がある。英語の教科についてはいかがか。

 A.○平成29年11月の改正による改正後の教育職員免許法施行規則第2条第1項の表備考第13号については、条文上特定の教科の指導法に関する科目からの流用を制限しているものではないこと、また、平成29年11月の教育職員免許法施行規則改正により、幼稚園教諭免許状取得において、小学校の教科に関する科目ではなく、領域に関する専門的事項を履修することとなったことなどから、免許状授与の審査において、理科、社会、家庭、外国語も含め特定の教科の指導法に関する科目から流用していることのみをもって、免許状授与のための要件を満たさないことにはならないと考えられる。

 ○なお、同号を適用して、幼稚園教諭免許状を取得する際の保育内容の指導法に関する科目の単位のうち、半数を小学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の「各教科の指導法に関する科目」又は「特別活動の指導法に関する科目」の単位をもってあてる場合においては、幼稚園と小学校低学年の接続の観点から、小学校低学年の科目である、現行(筆者注――旧法)の教育職員免許法施行規則第2条第1項に規定する6教科(国語、算数、生活、音楽、図工、体育)の指導法を学ぶことが履修方法としてより適切であると考えられることから、学生への履修指導としては、従前のとおり、前記の6教科(国語、算数、生活、音楽、図工、体育)の指導法に関する科目をできる限り履修させた上で流用するようにすることが適切である。

 

 

結論

「半数」の解釈をめぐってはこれ以上議論の余地はないものと思いますが、あてることのできる教科については、法令上は限定しないが履修指導レベルでは6教科が望ましいということになります。「法令上はAだが、指導上はB」という解釈はこれに限らず存在しますが[2]、教職課程運営上、特に学生の利害に関係する場合には注意したいものです。

 

 

 

 

[1] あくまで単位修得ベースの例示であり、科目開設ベースでは、「領域に関する専門的事項」に関しては、一種免の場合は5領域すべて、二種免の場合は4領域以上の科目ごとに科目を開設しなければなりません(教職課程認定基準4-1(1))。

[2] 例えば、66条の6の「体育」について、法令上は実技のみでも講義のみでも構わないが、実技を含んでいることが望ましい、など。